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2015年5月16日土曜日

読書感想文 -巨人たちの落日-

昨年はWWI開戦100周年ということで、コマンドマガジンにて紹介されていた巨人たちの落日を購入、先日やっと上中下全3巻を読み終わりました。

←複葉機が描かれているので航空戦も?と思いきやそこはさっぱり描写無しでした。
AHer的にはそこが残念


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物語はイギリス、ドイツ、ロシア、アメリカの各主人公を軸に第一次大戦前夜からシベリア出兵その後までが描かれています。
前半は貴族が支配する帝国と搾取される市民の図(それと対照的に自由の国アメリカ)が描かれつつ、いくつもの分岐点を経ながら結局開戦に至るしか無く第一次大戦が勃発します。
中盤は戦争をどう終わらせるかに苦慮しつつ戦い続ける政府や、政治とは関係無く戦う兵士達(とロシア革命)が描かれます。
終盤は戦後処理とソビエトの勃興が描かれ、時代の変革を描いています。

やはり最も読み応えがあるのは戦闘場面だと思います。塹壕戦の状況や、ルーデンドルフが西部戦線に来てからの浸透戦術とアメリカの参戦などが描かれます。
同時にロシア軍の戦いも兵士の目から見た戦いが繰り広げられ、革命に至る状況がよくわかりました。
もちろん戦前戦後も同じように米英独ソの場面が同時並行的に移りつつ描写されています。

事実を基にしたフィクションではありますが、当時の生活や政治外交などが非常によく理解できました。
歴史の教科書、参考書では理解できない部分を補完するのにとても良い教材では無いかと思いました(日本は直接の描写は無いものの、外交の中で話題に上る事があり、当時の列強に一目置かれていたのだなと感じました。)。
特にロシア革命とシベリア出兵は、教科書的な説明だけでは理解しにくい部分があったのですが、かなり理解できました。
あとワイマール共和国のインフレのすごさに改めてこれはやばいと思いました。

特権階級によって支配された巨人(=帝国)が、支配者の都合によって始めた第一次世界大戦という総力戦において庶民の力を必要とすると同時に戦場において支配者の無能ぶりを晒した事によって戦後貴族支配から庶民が支配する時代が来たということをその題名から、あるいは最後にエスとその子供が階段を上り、フィッツとその子供が降りていくというところに結実しているように感じました。

1900年代初頭を理解するにはとても良い一冊だと思います。

第二次大戦とその前後を描いた「凍てつく世界」という続編があるようなので、今度はそれを読んでみたいと思います(冷戦に向けてということ?)。

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